「ヒィイイイ〜〜ッ!!
お、お父さん、はよ帰ってきてっ〜〜ッ
ヒィイイイイイイ〜〜〜ッ!!!」
小5の娘が怪我をした。
学校から帰ってきて、玄関前でスッテンと転んだ娘が、たまたま手をついた先に、蚊取り線香が置いてあった。
あれよあれあれ、あの金具。
あれとは、蚊取り線香をホールドするための金具のことよ。
娘は、この上に手をついたのね。
そう。
刺さったの。
手のひらに。
その頃、俺はといえば職場にいて、中2の次男から電話がかかってきて、ことの次第を聞かされた。
通話している後ろからは、娘の泣き叫ぶ声が聞こえてくる。
「ヒィイイイ〜〜ッ!!
お、お父さん、はよ帰ってきてっ〜〜ッ
ヒィイイイイイイ〜〜〜ッ!!!」
先に言っておくと、怪我はそんなに大したことなくって、刺さったとはいえ、指と指の間の柔らかい皮膚の部分だったのです。
その日は、たまたま部活がなかった次男が二階でくつろいでいると、ベランダの網戸越しに妹の泣き声が聞こえてきたので、慌てて外へ飛び出したという。妻も仕事で留守にしていたので、次男はネットで処置方を調べてくれたらしい。
次男が言うに妹は、金具が刺さった右手を押さえたままなので、どうなっているのかはよくわからなかったらしいが、とにかく刺さったんやなと思いながらググった結果、、、「抜いて、水洗いしたらいいらしい」ということが分かり、妹にプレゼンテーションしたようだが、泣き叫ぶ妹はまったく受け入れようとしてくれず、困って俺に電話してきたようだ。こういうときの娘ときたら、まったく手がつけられなくなるのだ。
ここでまた冒頭のシーンに戻る。
「ヒィイイイ〜〜ッ!!
お、お父さん、はよ帰ってきてっ〜〜ッ
ヒィイイイイイイ〜〜〜ッ!!!」
電話口での冷静な口調の次男とは、まるで正反対の娘の泣き声が聞こえてくるので、どうしたものかと困ったが、とにかく娘の手のひらには蚊取り線香の金具が刺さったままだというので、職場には無理を言って帰らせてもらうことにした。
かくいう俺も怖がりなので、金具が刺さったままの手のひらを想像するだけで、背中がゾワゾワしてしまう。
抜くのか?
この俺が?
抜けるのか??
バイクに内股気味で跨りながら家に帰ると、家には次男しかいない。どうやら、俺との電話のすぐ後に妻が帰ってきたので、そのまま医者へ行ったらしい。その手があったかと、だいぶ胸を撫で下ろした。
一時間ほどしてから、妻と娘が帰ってくる。
娘はいつもの調子で、口笛をピッピィーと吹きながら階段を上がってくるので、ホッと胸を撫で下ろす。少しおちょくってやろうと、「会社まで泣き声が聞こえてきたから心配したでー。」と言うと、なんでやねんと鼻で笑っている。
とにかくまぁ、無事で良かった。
それが、昨日のこと。
今日、学校で仲良しの友達に確認したらしい。
「昨日の夕方さ。私の泣き声って聞こえとった?」
と、、、、。
小5ってこんなもんなん???