野焼きができる5つの例外(廃棄物処理法施行令第14条)
条 文 | 具 体 例 | |
① | 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却 | 河川管理のために伐採した草木等の焼却 |
② | 震災、風水害、火災、凍霜害その他災害の予防・応急対策または復旧のために必要な廃棄物の焼却 | 災害時の応急対策、火災予防訓練等 |
③ | 風俗習慣上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却 | どんど焼き等の行事における門松やしめ縄などの焼却 |
④ | 農業・林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却 | 稲わらの焼却、田畑の畦草の焼却 |
⑤ | 焚き火その他日常生活の焼却であって軽微なもの | 落ち葉焚き、キャンプファイヤー |
さて、問題はこれらの5つの例外に該当しない場合です。なななななんと廃棄物処理法違反で「5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金」が科せられます。調べてみたら実際に岡山県矢掛町の男性職員が2010年6月に書類送検されていました。同じ公務員ということでKさんの姿と見事ダブります。
矢掛町は17日、自宅のごみを畑で野焼きしたとして矢掛病院の男性職員(52)を同日付で減給10分の1(2カ月)の処分にした、と発表した。 町によると、男性職員は今年3月14日、町内に所有する畑で自宅の木箱やむしろ、わらなど約50キロを野焼きしたという。井原署は廃棄物処理法違反容疑で書類送検。5月31日に笠岡簡裁が罰金40万円の略式命令を出した。罰金刑が確定したことから町は17日、副町長(59)と病院事業管理者(67)も管理監督責任があるとして、文書訓告処分にした。 町は「野焼き禁止を町民に求める立場から、職員を懲戒処分にした。信頼回復と再発防止に努めたい」としている。(毎日jp) |
それともうひとつポイントがあります。もう一度、廃棄物処理法第16条の2第3号をおさらいしてみましょう。
「公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの」
もうひとつのポイントとは、条文の後半にでてくる「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である」というところです。つまりいくら5つの例外に当てはまる場合であっても、苦情がでたらアウトだということ。前回も書きましたが、何かにつけて僕ら街場薪ストーバーの明暗を分けるのが、隣人からの苦情問題ですよね。
やっと皆さんお待ちかねの薪ストーブの話題になりましたね。ではいったい薪ストーブの使用は廃棄物処理法的にどうなんでしょう?僕らが薪にしているのは、たいていが公園や街路樹の廃樹木です。これって市町村の焼却炉で燃やされるはずの廃棄物ですよね?思いっきり廃棄物の焼却になるんじゃあないんですか?どうやら先ほどの5つの例外にも当てはまりそうもないし、薪ストーブってダイオキシンを発生させないための構造になってましたっけ??
ご安心ください。薪ストーブは「薪」を燃やしているのであって、「廃棄物」の焼却をしているのではありません。ですからこれらの廃棄物処理法の規制には当たりません。「薪」は、もともと廃棄物であった廃樹木に(チェーンソーや斧を使って)手を加えてますよね。そんな「薪」には商品価値もあります。すなわち有価物(廃棄物の対義語は有価物と覚えておけば区別しやすい。この辺の話は長くなるし、ぼくら街場薪ストーバーにとって大事なポイントなので、また今度まとめます。)なんですね。「薪」として生まれ変わった廃樹木はもう「廃棄物」ではないので、堂々と燃やしてやりましょう。
薪ストーブを設置する上での構造上の規制は、建築基準法や市町村の定めた火災予防条例の中にあります。が、薪ストーブの出す煙に関する法律や条例による規制は、(僕の調べてみた範囲では)多分ありません。大気汚染防止法も悪臭防止法も一般家庭の薪ストーブには適用されないようです。だから煙への苦情が来て、ほったらかしにしておいても行政処分も書類送検もありません。
おしまい