洗い餅

毎年、年末に行われる友人宅での餅つきに、今年は、なんと113人も参加したらしい。

 


何年か前、町内会で行われた餅つき大会のとき……駆り出された役員のお父さんたちが、何をしたらいいか分からずウロウロしているので、見るに見かねて、(俺は、そういう場に迷い込むと、仕切らずにはおれない病なのだ。)二つあった臼を仕切っていたら、あとで近所のマダムが、「Jさんのご主人って、ひょっとして餅つき関係の人?」とか囁いていたらしいが、餅つき関係の人ってなんやねんそれ。ひょっとして、じゃねえよ。

 


さて、今年の友人宅での餅つきでは、人も多い分、役者が揃っていたので、俺の仕切り病も発症せずに済み、最初からビールを飲みながら、粕汁やローストチキンや鹿肉の燻製などのご馳走をゆっくりと味わうことができた。何年もやってるうちに、専門用語も生まれてくる。一回目につかれる餅を「洗い餅」という。一年間、軒下に放り出されていた臼は、餅つき前に水洗いしてから使うとはいえ、やはり細部の凸凹に染み込んだ汚れまで取るのには、一回目の餅がつかれる必要がある。

 


また、餅を丸めるのは小さい子供たちの役割だ。餅つきが始まるまで、庭先で、木によじ登ったり、ドッヂボールをしたり、走り回ったりしている子供たちが、呼び集められて、餅を丸めることで、子供たちの手の汚れも洗ってくれることだろう。

 


二回目につかれる餅こそが、本物の「一番餅」と呼ばれるにふさわしいのだ。今年は、迂闊に「洗い餅」に手を出さず、しっかりと「一番餅」を味わうことができた。餅はやはり、砂糖醤油に限る。

 


これが、2018年最後の更新となります。来年も、「Joeシッタカーの加古川うわちゃー」をどうぞよろしくお願いします。