毎週木曜日、加古川市立武道館で合気道の稽古をしていると、隣りの道場では、いつも同じ時間帯に少年柔道の稽古をしている。
今日も大きな声が聞こえてきた。「お前、亀になるために来たんか?」どうやら、寝技の稽古をしている少年が集中的に怒られているようだ。「オイッ。ええかげんにせえよ。お前ほんま背中蹴ったろかー!」少年の泣きそうな鼻息が聞こえてくる。こっちも稽古中なので、ちゃんと見てないのだけど、想像するに、抑え込みに持ち込まれないように、必死にうずくまって抵抗し続けたのが、先生の逆鱗に触れたのだろう。
ちなみに、怒号を発しているのは女の先生だ。
加古川市立武道館の二面ある道場と道場の間には仕切り板なんてないので、稽古の間、こんな調子でずっと隣りの怒鳴り声が道場中に響き渡っている。こちらが静かに呼吸法をしている最中でも、御構いなしだ。
「もっと気合い入れんかい!」「オルァ!」「それがお前らの限界かー!」「オルァアアア!!」「ボケッーとすんなー!!」「オルルルルァアアアア!!」「泣くなら、辞めてまえーっ!」女の先生がメインで怒り、ところどころで、いかつい顔した男の先生が怒鳴り声をかぶせてくる。女の先生は、ずっと怒っているし、男の先生はとにかく威嚇し続けている。(不思議なことに、テクニカルな指導は一切しないのだ。)
それにしても、「お前、亀になるために来たんか?」って、そんなわきゃあないのだが、先生にはその時、少年が亀に見えたのだろう。
だって「オイッ。ええかげんにせえよ。お前ほんま背中蹴ったろかー!」って言った先生は、きっとただのスーパーマリオのやり過ぎなのだろうから。
お前がええかげんにせえよな。
うるさいねん。