んなアホな

母の大きく膨らんだお腹を見て、周りの人たちに「双子ちゃうの?」と言われたこともあるそうだが、医者からは「ひとりですよ。」と診断されていたので、何の準備もしてなかったそうだ。くっきりはっきりとお腹の中の赤ちゃんが男なのか女なのかまで分かるエコー(超音波)検査も、当時はまだなかったのだろう。まぁ聴診器くらいはお腹に当てたのだろうけど、きっと双子たちの心音は完全にシンクロして、同じビートを刻んでいたのに違いない。どくどくどく。

 

 

ジョー家の三人目としてヒロシが母のお腹の中からでてきてすぐに、医者がこう言ったそうだ。

 

 

 

 

「あれっ?まだおるわ。」

 

 

 

その五分後、ジョー家の四人目としてタカシが産まれた。逆子だったそうだ。さてその夜、父が、いつものようにベロンベロンに酔っ払って家に帰ってくると、祖母が「たいへんや!双子が産まれたんやで!」と報告するが、父は「んなアホな!」と言ってそのまま寝てしまったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

そんなヒロシタカシは、もうじき44になります。

 

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