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受け身について

合気道の稽古をやっていて、何度か言われたことがある。

「トージョーさんって、受け身ウマいですよね。」

受け身を取っている姿を自分では見れないので、よくわからないのだが、きっと稽古で習ったことを実践する場が僕にはあるからだろうと思っている。つまり、ダートバイクの練習だ。つまりのつまりはバイクでコケる度に、必然的に受け身を取っているのだ。

バイクでコケる。と聞いたとたんに、あらやだ危ないわと顔をしかめる人が多い。(うん知ってる。)でもダートバイクでコケるのは、公道でコケるのとはまるでわけが違うのだ。公道でコケるのはほんとに危ない。時にはただでは済まないことがあるよね。でもダートバイクでコケるのは、日常茶飯事で、実は大騒ぎするほどのことはないのだ。(プロテクターもガッチリつけてるしね。)

また、練習を終えて、一度もコケてない日は、まったく攻めてない日だ。何のために練習してるかというと、自分の体力と技術の向上のため、そしてビビリという名のリミッターを外すためにやってるんだから、コケた数だけ上達しているとも言える。とは言うものの、常にこう思いながらバイクに乗っている。

「コ、コケたくねぇ〜。」

そりゃあ、コケたら多少なりとも痛いし、何よりウマくなりたくて練習してるんだからね。コケたら悔しいよね。しかし、コケたくないと強く思いすぎることは、身体の動きを縛り付けることにもなるため、無駄なコケを招くことにもつながる。結局、攻めたい気持ちとビビる気持ちとの狭間で、ビビりのリミッターは徐々にしか外せないのだ。

「攻めメーター」と「ビビリメーター」があるとしよう。2つのメーターは連動している。攻めメーターが100なら、ビビリメーターは0で、逆にビビリメーターが100なら攻めメーターは0だ。攻めメーターが50なら、ビビリメーターも50……まだまだ課題の多いダートバイクライダーにとって、いかにしてこの攻めメーターを上げるかということが上達するためのポイントになってくる。ウマくコケれるということも、攻めメーターを上げるためには大切な要素となってくるのだ。




余談だが、攻めメーターを上げるためにはレースに出場してみるのが一番いいかもしれない。僕が参加しているのはエンデューロという競技で、夏のスキー場や林道などの自然地形を生かした一周5〜10kmのダートコースを90〜120分間走り、ライダーの体力と技術を競うものだ。練習では、ビビリメーターが反応したら、行きたくないセクション(例えば急斜面やガレガレの岩場、沼みたいなところ)は避けて通ってしまうものだが、これがレースだとそうはいかない。行きたくなくてもコーステープが貼ってあれば行かなくてはならないのだ。「嫌やなぁこのセクション」と思い、ビビリメーターはすっかり振り切っている場合もある。しかし、そこをなんとか攻めメーターを上げて行かなければならない。ビビリメーターが50以上の数値を示している状態で突っ込んだって、じきに足を出してしまってバランスを崩し玉砕するだけだ。ビビリメーターをぎゅうううううっと絞り込んで、うおりゃああああああっと攻めメーターを上げながらいくと、難セクションと思ってたのがなんてことない場合もある。また技術が足りなくて結局玉砕する場合もあるが、これが必ず次に繋がる。レースではどうせ、何周も走らなくてはならないのだから、繰り返すことで、ビビリメーターを制御する方法も徐々に身についていくのだ。もちろん同時に技術も上がっていくことだろう。そういう時に大事なのは、フロントパネル(頭の中のね)の攻めメーターしか見てはいけないということだ。(最初は0だった攻めメーターが20……30……35………と上がっていってるところに、決してビビリメーターの65を認識してはいけない。)



さて、少し脱線してしまったが、ダートでバイクに乗り始めて最初の1年から2年はよく怪我したものだった。合気道も始めたばかりだったため、身体の使い方もてんでバラバラだった。怪我した時はたいていバイクから逃げ損ねた時だ。いかにいさぎよくバイクを捨てて逃げるかということが重要になってくる。そして、この頃はコケた時に、合気道で習った受け身がたいへん活かされてきているのだ。たまに圧倒的に素晴らしい前回り受け身を取ることができ、自分でもホレボレすることがある。そんな時は、とても気分がいい。しかし、真冬の林道で、ズルンと滑ってそのまま頭から大きな水たまりに(もちろん前回り受け身を取りながら)どんぶらこと突っ込んだこともある。目の前に広がる水たまりを見て一瞬躊躇したが、そこでヘタに踏ん張ったりすれば、きっとどこか怪我していたことだろう。寒空の下、全身ビショ濡れになったが、僕は無事だった。

これまたバイクが頑丈にできていて、いつもたいていなんともないのだ。(ブレーキレバーが曲がるくらいだろうか。)1年前に新車で買ったバイクが、今となっては傷だらけだけど、それがまた愛着を生み出している。

しかも、すべての技を自分の身体の中心で行うことを繰り返し稽古する合気道は、バイクでコケる時にだけ応用されているわけじゃなく、バイクのライディング自体にも応用されていると思う。まだ二輪免許も持ってないころ、友達に初めてダート(石がゴロゴロ転がっている河原)に連れて行かれた時、ガッチガチに固まってしまっていた上半身だった。怖くて必死にハンドルにしがみつくもんだから、すぐに腕上がりしてクラッチもブレーキも握れなくなってしまっていた。コケるのもたいそうヘタだった。その頃に比べたら、合気道をやっている今のなんと柔らかく乗れていることか!!合気道とバイクの相性の良さは、最強かもしれないと思っている。

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(僕は40なるまで、バイクになんてまったく興味がなかった。)


ああしかし、悲しいかなバイクの技術よりもバイクでコケる技術のほうが、より上達してるんじゃないかなと思うことがある。ダートバイクのライディング講座ならぬコケティング講座とかやったら流行らんかな。全身バイクのプロテクターつけてヘルメットかぶったまま道場で、ひたすら受け身の稽古するのね。なんてったって、道場長の経歴はなかなかのものだ。


3年前に二輪免許をとってからの、僕の怪我の経歴………


⑴左足の脛骨の不全骨折(ヒビのこと)

⑵左足くるぶしの不全骨折

⑶左足第二指の骨折

⑷左足脹脛の肉離れ

⑸左足の外側靭帯断裂









左足ばっかしやないかいっ!!!







笑わないでいてもらいたい。僕がどうしてここまで、懲りずに怪我をしてきたのかには、れっきとした理由があるのだから……その理由については、長くなりそうなので次回にしたいと思うが、まぁとにかく、これだけの怪我を経て身につけた受け身なのだ。少しは興味が湧いてくるでしょ?





え?興味ない?




惜しいな。体を張り、実践に実践を積み重ねているだけあって、自信があるのだけどな。「ジョーシッタカーのコケティング講座」を受けたい人がいたら、声をかけてください。

そして、あなたがもし合気道を習っていて、受け身に自信がないのなら、ぜひダートバイクに乗ってみてください。さぁ!男も女も年齢も恥も外聞も関係ありません!松葉杖の一本や二本、僕からプレゼントしますから!!取り外しのできる便利な多機能ギプスやサポーターも各種揃ってますよ!!














左足用のしかないけどね………








おしまい