映画館で、上映を今か今かと待ってると、客電が落ち新作映画の予告が始まる……ハァ、またいつものやつだ。
大音量で男性ナレーターがたっぷりと余韻を作りながら語り出す。
「これは、ある自転車の鍵を巡る奇跡の物語……田舎町の自転車屋さんで、同じ鍵に手を伸ばし、手と手が触れ合った二人の高校生……出会ってすぐに惹かれ合った二人だったが、卒業前に些細なことをきっかけにして心が離れていく……それから10年後、大都会の雑踏の中で、偶然に再開した二人の前にあの時の自転車の鍵が現れる。ただの偶然なのか?それとも奇跡の兆しなのか??10年前に、女が付き通した嘘とは?男は自転車の鍵の番号を思い出すことができるのか?物語は、衝撃のラストを迎える……」
こんな感じの映画予告が、やたらキラキラしたエフェクトかけて垂れ流されることがよくある。
あーゆー類いの映画ってさ、福士蒼汰とか有村架純とかの超売れっ子俳優またはジャニーズが出てるってこと以外に、見どころない気がするよね。泣かせよう泣かせよう、キュンキュンさせようとしているのが見え見えすぎてしんどくなるわ。
「物語は、衝撃のラストを迎える。」って、ナレーターが言い終わるかどうかのタイミングで平井堅とかが歌いだすんだよね。そしてその主題歌をバックに追いかけるよね。きっと男は女を追いかけるんだよね。抱きしめるよね。もう離すものかと抱きしめるんだよね。
絶対に観ないよね(げっそり)
あと、シリアス路線かと思わせといて実はコメディだったっていうパターンも映画予告あるあるだよね。
客電が落ち、大音量で男性ナレーターがたっぷりと余韻を作りながら語り出す。
「これは、ある自転車の鍵を巡る奇跡の物語……田舎町の自転車屋さんで、同じ鍵に手を伸ばし、手と手が触れ合った二人の高校生……出会ってすぐに惹かれ合った二人だったが……
実は〜っ!?どっちも男だったぁ〜〜っ!!??二人の男子生徒が廃校寸前の男子校を救う!?セーラー服の似合う学園イチのオネエ男子のユウキは、ある日みんなに無理やり生徒会長にさせられてしまう。リーゼントの似合う学園イチのヤンキー男子のマモルが、それに手を差し伸べる。
『おいおいマジかよ。マモルの奴、生徒会に入ったってよお!?』
『パパ!パパっ!!大変なの!!マ、マ、マモルが女装をはじめたのよっ!!』
二人の噂はたちまち街中を駆け巡る。学園長からのセクハラ行為や女子高のスケバングループからの決闘の申し込みを受けながら、二人は無事に恋の自転車の鍵を開けることができるのか?!まるでジェットコースターに乗っているかのような、はちゃめちゃなハートフルコメディ!!」
……みたいな映画、ありがちじゃない??主題歌はサンボマスターあたりでさ。途中からナレーターもメーター振り切ってくるからね。
「主演はなんと!ユウキ役に山崎賢人!!そしてマモル役に菅田将暉のダブル主演!!」
……みたいな映画?!え?映像思い浮かばへん??盛り上がってるの俺だけ???
………テヘ。
おしまい