初老

初老だ。体の関節のあちこちは悲鳴を上げているし、この頃なんだか爪や髭の伸び方にも勢いがなくなってきた。なによりも、夜中にトイレに必ず起きてしまう。ええい、言ってしまおう。俺は無呼吸症候群なのだ。

 

知ってる?あの、睡眠中に呼吸が止まってしまうやつだ。んごーっ!んごーーっ!!と軽快にイビキをかいていたかと思うと突然呼吸が止まり、あれ?この人死んだんかな?と心配になったころに、ぶはぁーーーーーっ!!と息を吸いこむやつだ。


そのせいか、ものすごく睡眠が浅くて、ちょっとした物音で目が覚めてしまう。結果、尿意にも敏感になってしまうのだろう。ビール好きなもんだから、夜中の2時くらいには膀胱がパンパンになっていると感じてしまうのだ。俺は眠い目をこすってトイレに立つが、これまた腹が立つことにそんなにたくさんの量が出るわけではない……。

 

おいおい、もっと溜めとけるやろオンドリャーと、自身の膀胱に毒づきながら俺はベットに戻るのだ。このようにして毎日毎日、必ず尿意で目が覚めてしまう。


人は言う。「癖になってるだけなんじゃないの?そのまま寝てしまえばいいじゃない。」と、「いやいや、そうはいかないのだよ。」と俺は答える。なぜなら、尿意を催した時の俺は、トイレを探す夢を見ている。時には学校であったり、知らない街の中であったり、ビルの中であったりするのだけど、夢の中ではトイレが見つからないのだ。必死になって探すがなかなか見つからない。仕方がないので、お風呂でしてしまおうと思って風呂を探していると、(なぜだか)大浴場が見つかる。しかし、たいてい大混みしていて、洗い場でどさくさに紛れてシャーっと済まそうという俺の企みは果たせない。仕方がないので風呂を出て、今度は死角を探す。そうだ。俺には男の専売特許があるではないか。わざわざトイレなんて探す必要はないぞ。と、勇みながらビルとビルの隙間や人のいない場所を探して、満を辞してズボンを下ろすのだが………で、出ないのだっ!うんともすんともまったく出てこない。(まぁ実際のところ、出たらそれはもうオネショをしてしまうってことなのだから困るのだけど。)苦しい。苦しいのだ。出ないのは苦しいぞ。毎日、快便派の俺は、便秘の苦しみはわからないのだけれど、きっと苦しいのだろうなと同情する。


細かいシチュエーションは変わってくるのだが、これが、ほぼ毎晩繰り返されている俺の夢だ。(最初にあっさりとトイレが見つかる場合もあるが、例によってまったく出ない。)夢にうなされて目が覚めて、重たい目をこすりながら俺はトイレに向かうのだ。ちなみに2時の次は5時ごろに目が覚めてしまう。もちろん同じような夢にうなされ、すでに膀胱はパンパンだ。

 

 

俺が早起きなのはそのせいなのである。早起きしたくて早起きしているのではない。

 


ハァ、週に一度、いや月に一度でもいいから朝までゆっくりぐっすりトコトン心ゆくまで眠ってみたい。

 

 

 

 

 

 

 

さて、しょろしょろ終わるとするかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初老だけにダジャレで締めてみた。

 

 

 

 

 

 

おわり

ガチムチ2

学生の頃、テニス部だった俺だというのに、細い身体に白い短パンが似合っていた俺だというのに、テニスコートに吹く爽やかな風に前髪がなびいていた俺だというのに、こないだ合気道の後輩から、「ジョーさんって野球部出身っぽいですよね。」と言われた。

 

 

 

 

心外だ。

 

 

 

 

 

 

はい、現場からは以上です。

知り合いかも?

フェイスブックをやっていると、フェイスブックのお節介な機能が、「知り合いかも」といいながら、たくさんのジジイをおすすめしてくることに最近イラッとする。俺はそれらの知らんジジイを目にする度、かたっぱしから削除ボタンを押している。奴らのプロフィール写真は、何の工夫もない剥き出しのジジイだ。いかにも、間に合わせ的に、集合写真の中から自分だけをトリミングしたような粗雑な物も多い。よりによって、なぜその写真をプロフィール写真に選んだのか謎でしかたがない。そして、誰やねん……知り合いかも?ハアん?


あまりにイラつくもんだから、この頃は無視できなくなっちゃって、「知り合いかも」リストをわざわざスクロールして、表示されるすべての剥き出しのジジイを削除している始末だ。結果的に、より多くの剥き出しのジジイを目にしてしまい、よりイラついてしまうという悪循環を起こしているのだが、これがやめられない。

 

 

 

 

 


この世のすべての剥き出しのジジイを削除してやる覚悟なのだ。

 

 


さぁ、今日も削除ボタン押してやるからな。

恥ずかしいセリフ

誰にでも、思い出すだけで耳がカァッと赤くなる。そんな恥ずかしい言葉をかつて吐いた経験があるはずだ。

 

 

 

 

 

それは15年くらい前のこと、僕と妻は不動産屋巡りをしていた。あちこちの中古物件を探していたのだ。一人目の子供が生まれ、荷物も増えてきて、2DKのハイツでは手狭になってきていた。

 

 

その日も僕らは、ある不動産屋さんにいくつかの物件を案内してもらっていた。午前中に複数の物件を回ったが、特にグッとくることもなく、なんだかなぁと思いながらも、その日見た中でも一番マシな池沿いの物件の前で僕はその不動産屋さんにこう言っていた。

 

 

 

 

 

「この物件、もうちょっとまかりまへんか?」

 

 

 

 

 

今となってはなぜ、こんな発言をしたのかまったくなぞだ。

 

 

 

 

「まかりまへんか?」

 

 

 

 

そんなベタベタの関西弁を僕はこれまで使ったことなんてない。そんなコテコテの関西弁を使っている人も、テレビの中でしか見たことがない。そんな言葉をよりによって、まったく買うつもりもない物件に対して使ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産屋さんのタバコ臭い営業車に乗って、不動産屋さんのある駅前まで帰る道中、ずっと僕の耳は赤かった。

 

 

 

 

 

 

これを書いている今も僕の耳は赤い。

 

 

 

 

 

 

 

おわり

薪割りをしていたら、木の中から大量の蟻がでてきた。わさわさという音が聞こえてきそうなくらいの量だ。まぁ、よくあることなので、あまり気にせず作業をしていると、身体のあちこちに刺すような痛みが走る。太ももから始まり、内腿、腰、、、最後は首までと、次から次へと痛みが這い上がってくる。

 


住処を奪われて怒り狂った蟻が、ズボンの裾から中へ入り攻撃してきたようだ。あわててパンツ一丁になって着ていた服やズボンをひっくり返してはらう。噛まれた所を見てみると、爪楊枝の先くらいの大きさにプツッと赤く腫れている。痛い。皮膚がビリビリする。完全に気持ちが萎えてしまったので、帰ってシャワーを浴び、とりあえずムヒを塗り塗りする。数えてみると全部で10箇所も噛まれたようだ。そして痛い。

 


翌日になると、痛みは引いたが痒みがでてきた。見ると、噛まれた所は、赤く腫れ上がっているので、とりあえずムヒを塗り塗りする。そして、翌々日起きると、益々赤く腫れ上がった上に、広い範囲でシコリを持ち始めていたので、とりあえずムヒを塗り塗り……って、ムヒに頼ってたら大変なことになってきたーーーっ!!!腫れた所が、今度は水泡になってるやん!!!!

 

 

 

 

 

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南米のヒアリの毒性が話題になってたけど、日本の蟻もなかなかやるやん。

 

 

 

 

 

 

おわり。